飛行機はどれくらいの速さで飛んでいる?【入門編】
飛行機がどれくらいの速さで飛んでいるのか?
皆さんが疑問に抱かれることもあると思います。
今日はこの飛行機の“速さ”について扱っていきます。
※速度については複雑なので何回かに分けて解説しますね。
まず、一般に速さ、速度とは?
まず飛行機の話に入る前に、“速さ”“速度”とは何かを簡単におさらいしましょう。
まず日常生活にある例として、車を例にとり説明します。
車に乗っている時、運転席に速度が表示されますよね?
例えば“60km(km/h)”と針が指していたとしましょう。
ではこれが意味するところは?
“1時間で60kmの距離を進む”
という意味ですね。
(難しい表現になりますが、速度の定義とは単位時間あたりに物体が位置を変えていく割合のことを言います。)
実は飛行機の速度については、車ほど単純ではないのです。
車と飛行機で速度の考え方に違いがある?!
さていよいよ飛行機の話に入っていきましょう!!
実は車と飛行機では速度に対しての考え方に大きく異なる部分があります。
それは、“飛行機は空中を飛行している。”ということです。
いやいや、当たり前ではないですか?と言われると思いますが、これが大事なところです。
簡単に言うと飛行機が空中に浮いていられるのは、
“翼の上を流れる空気の力”
なのです。
つまり、飛行機が飛ぶには前に進む力が必要で、強力なジェットエンジンを使って前に進みます。
すると翼が空気の力を受けて、あるところまで達すると、飛行機が浮き上がります。
ここで、地上で飛行機が止まっている状態で自分の正面から風を受けている状況を考えてください。
仮に先ほどの車の例で用いた、60㎞/hという速度。
正面から60㎞/hの速さの風が吹いているとしましょう。
車であれば止まった状態で正面から60㎞/hの風を受けようが、車としての速度は?
当然止まっているので“0km/h”ですね?
ここで!飛行機は考え方が違います!!
飛行機の場合、止まってはいるものの、
”60㎞/hの風を受けている”ところが大きなポイントです!!
風を受けている。と、言うことは翼の上には60㎞/hの空気が流れています。
イメージできるでしょうか?
実は車の60km/hという速度は道路(地面)に対しての速度なのです。
これを地面に対するので“対地速度”と言います。
これとは違い、飛行機は浮き上がる速度を知るために”翼を流れる空気の速さ”が必要なので、空気に対する速度を使います。
これを“対気速度”といいます。
コックピットに最も大きく表示されている速度は実はこの“対気速度”なのです。
対気速度についてもう少しイメージを
これでもなかなかイメージができないという方もおられると思いますので、もう少し具体説明をしますね。
飛行機は、原則離着陸の時は向かい風を受けられる滑走路を使います。
常に風に向かって離着陸するのです。
この理由は先ほど述べた通りで、
仮に離陸速度が150ノットであったとしましょう。(飛行機の速度単位は一般にノット(kt)を使います。)
正面から50ktの風が吹いているとすると?
離陸のために、残り必要となる速度は100ノットですよね?
(翼の上にはすでに50ノットの空気の流れがあるのであと100ノット分の流れを自分が前に進んで作り出します。)
ここで
逆に、自分の後方から50ノットの風が吹いていたとしましょう。
“対気速度”はどうなりますか?
自分は止まっていますよ?
正解は速度はマイナス50ノットですね。
ん?よくわからない?
つまり、後ろから風を受けている状態で離陸しようとすると、後ろからの風は翼の上で逆に流れてしまっているので、その風の分も加速する必要があり、150ノットで離陸しようとすると、
まずは後ろからの風50ノット分を打ち消すべく、加速をする必要があるので、”対気”速度は150ノットで同じでも。離陸時の”対地”速度は200ノットになってしまいます。
ということになります。
まとめ
お分かりいただけましたか?今回は速度の入門編ということで、対地速度と対気速度を解説しました。
飛行中の高度30000フィートや40000フィートといった高度では強い時で200ノット程度の風が吹いています。㎞に換算すると
実に約360㎞/h(新幹線と同じくらいの速さですね。)
つまり、上空ではこの360㎞/hの風を正面から受けて飛ぶのか、後ろから追い風に乗るのかで同じ“対気速度”であっても“対地速度”は大きく変わってきます。
で、どれくらいの速さで飛んでいるの?と言われた時に、ざっくり言うと
追い風の時は対地速度でおよそ1000km/h
向かい風の時は対地速度でおよそ600km/h
これくらいの速さです。
なので、平均すると約800km/hといったところでしょうか。
この飛行機の速度に関してはまだまだ奥が深いので、次回は更に詳しくお話をしていきます。