失速ってなーに??
さて皆さん、”失速”という言葉は一度でも耳にしたことがあるのではないでしょうか?
失速とは何ですか?と聞いたときに
「飛行機のスピードが遅くなりすぎて落ちていく」
このようにお答えになる方も多くおられると思います。
実は「速度が遅くなる=失速」ではないのです。
今日はこの「失速」についてお話をしましょう。
まずは、飛行機が飛ぶ理由から
まずは飛行機が飛ぶ理由を簡単に復習しましょう。
飛行機は翼に受ける空気の力から揚力を生み出し、空中を飛行します。
(詳しくは飛行機が飛ぶ仕組みを見てくださいね)

翼の揚力を調整するには?
また詳しく説明すると難しくなるので、簡単に説明しますね。
この発生する揚力は翼の形(翼型)と空気を受ける角度(迎え角)で変化します。
今回はその空気を受ける角度(迎え角)について着目します。
(”翼の形を変える”という話はまたお話ししますね。)
先ほどの図を再度見てください。

仮に正面からの空気が少なくなるとどうなるでしょう?
その通り!揚力が減ります。
では、角度を変えて揚力を調整してみましょう!
この角度というも図に示すと次のようなイメージです。

この翼の迎え角を大きくすると揚力は大きくなるのですが、
実は大きくしすぎると翼の上を流れる空気が乱れてある現象が起こります。
空気が剥がれる?!
”飛行機が飛ぶ仕組み”のところでもお話をしましたが、
空気には物体に沿って流れる性質があります。
つまに、翼の形に沿うように、張り付くように空気は流れています。
しかしながら迎え角を大きくしていくと空気が剥がれてしまうのです。

上の図の右のイメージを見てください。
物体に沿って空気が流れますが迎え角が大きくなり限界を迎えると、
翼の上の空気が乱れて(これを剥離と言います)正常に流れなくなります。
このような状態になってしまうと揚力を生み出せなくなってしまいます。
飛行中の飛行機でこの揚力がなくなるとどうなるでしょうか?

そうです!地上に向け落下していきます、、、
この状態を”失速”といいます。
つまり
失速のきっかけは飛行機の速度が低下することであることは事実ではありますが、
速度が低下すること=失速
という考え方ではありません。
速度が低下する⇒揚力が低下する⇒迎え角を大きくして揚力を確保する
⇒角度が限界を超えて空気が剥がれる⇒揚力がなくなる
”この状態を失速”といいます。
では翼の角度はどのように計測しているのでしょうか?
失速を防ぐセンサー
当然、飛行中に失速状態に陥ると危険なので、それを防がなければなりません。
そのセンサーは皆さんからもよく見える位置についています。
それは飛行機の前方部分です。

この部分です!!
この部分にはいくつかの重要なセンサーがあるのですが、
それも追い追いご説明します。
失速に関するセンサーは翼のような形をしています。

この翼のようなセンサーに空気を受けて、その角度を計測します。
今の飛行機ではコンピューターで測定結果を分析し、その時の状況での失速姿勢をコックピットの計器と”もう一つの方法で”パイロットに知らせます。
操縦桿が震える??
実は失速状態に近づくと操縦桿がガタガタと振動します。
(昔ながらの操縦桿というものがない飛行機は異なりますが、、、これもまたお話しますね)
今の大型機では機械で振動を起こして操縦桿を震わせるのですが、
操縦桿が震える=失速に陥っている
という考えは最も初期の訓練から身をもって叩き込まれます。
パイロットの訓練は、小型プロペラ機から始まります
このプロペラ機の訓練では基本的な操縦技術を学ぶのですが、その中でも失速回復訓練もあります。
先ほど、翼の空気が剥がれるという話をしましたね?
この剥がれて乱れた空気が、機体の後方にある尾翼に当たります。
操縦桿の動きで後ろの翼、尾翼を動かして飛行機を操作するのですが、
尾翼に乱れた空気が当たると尾翼と金属のケーブルで繋がっている操縦桿にその乱れが伝わり、ガタガタと振動するのです。
今の大型機では直接ケーブルで繋がるような仕組みではないので機械的に振動を起こしているのですが、我々からすると直感で分かるようになっています。