機体の表面は暖かい?!
さて今日は、飛行機の機体の話をします。
更に言うと、機体の表面・外板の話をしましょう。何の話かまだ分からないかもしれませんが、興味深いので最後まで見てみてください。
知っていますか?飛行機の外板
まずは飛行機の外板について話しましょう。
最新の飛行機は炭素繊維複合材料(CFRP)という、簡単に言えば特殊なプラスチックのようなもので作られていますが、従来の飛行機はアルミ合金で作られています。
CFRPは従来の素材よりも固く丈夫で、更に重さも非常に軽くすることができます。
金属の板で作られているとなるとイメージはしやすいと思いますが、ここで取り上げた炭素繊維複合材料(CFRP)とはどんなものでしょうか?
この写真をご覧ください。
もともとは、私たちが着る服の生地を作るのと同じように、炭素でできた繊維を織って生地のようにします。
しかしながらこのままではフニャフニャなので、圧力をかけながら熱を加えます。
イメージ的にはオーブンに入れるような感じです。
すると
画像では分かりにくいですが、繊維同士が非常に固く結びつき、これが飛行機の部品として使われます。
機体外板の役割
イメージ的には家の壁のように外と中を隔てる役割であると思いの方もおられると思います。
当然その役割もあります。
初期の飛行機では単なる仕切りのような役割だったので”板”ではなく、
骨組みに布を張られていたものもありました。
しかし今の時代では、この機体外板は飛行中の機内の気圧を保つ非常に大事な役割をしています。
さて、
空気がパンパンに入った風船を思い浮かべてください。これが飛行中の飛行機です。
と言われてもよくわからないですよね?
飛行中の外の気圧は非常に低く、人間が生きていける環境では到底ありません。
しかしながら、飛行機は高高度を飛行するので人間が生活できる環境を作らなければなりません。
(飛行中の客室のお話はまたしますね)
そのために機内に圧力をかけて空気を送り込み地上に近い環境にしているのです。
それが先ほどの風船のイメージですね。
では、その膨らました風船、針で穴をあけたらどうなりますか?
”パン”と破裂しますね?
飛行機も同様に機体に穴が開いてしまうと、同じくそこから空気が漏れます。
しかしながら、それが事故につながらないよう、設計上色々な工夫がされています。
機体外板の厚み
ここで質問です。
機体外板の厚みはどれくらいでしょうか?
機体に穴が開いても大丈夫なように考えられているとすると、、、
1cm? 5cm?
さて
正解はと言うと
何と
2~3ミリメートル
え?と思うかもしれませんが、機体外板は意外と薄く
2~3ミリ程度なのです。
当然機体の部分部分で異なりますが、概ねこの程度の厚さです。
飛行中のお話
では飛行中の機体外板の話をしましょう。
当然飛行中は外気に触れています。
大体は気温マイナス50℃程度の空域を飛行しますが、季節や場所によってはマイナス70℃程になることもあります。
冬の寒空の中、同じ気温0℃の日でも北風が吹き荒れるととても寒く感じますよね?
飛行中は時速800km程度の速度で飛行しています。
飛行機の表面も同様に、この時受ける風の力で温度は左右します。
で、機体表面の温度は?
外気温がマイナス50℃であるならば、それより低い温度。。。
と思いますが、実際は異なります。
飛行速度にもよりますが、外気温がマイナス50℃であるなら
機体表面はマイナス20℃くらいになっています。
この差30℃
え?なぜにそれほどまで違うの?
と思われますよね?
この理由をご説明しますね。
先ほどもお話しした通り、飛行機は時速800kmほどの高速で飛行しています。
非常に速い速度で飛行するために、空気と機体の間で
”摩擦”
が生じます。
冬に手をこすり合わせると暖かくなりますよね?
これと同じことが機体の表面にも起こっているのです。
この摩擦によって起こる熱によって、こんなにも温度差が生まれてしまうのです。
窓際に座ると寒い??
さて、ここでこう思いませんか?
摩擦で温かくなっているとはいえ、
マイナス30℃
そして外板の厚さは2~3mmという薄さというお話をしましたね?
と、なると
窓際に座ると寒いはず!!
でも実際は機内の温度は一緒で席によって違いは感じませんよね?
実は外板のすぐ裏側
座った時に見える機内の壁と、外板の間には、
断熱材がビッシリと張られています。
この断熱材の効果と強力な空調システムのおかげで凍えることなく快適な飛行することができるのです。