飛行機の窓
飛行機に乗って、窓からの景色を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?
今日は飛行機の”窓”そのお話をしてみますね。
飛行機の窓は邪魔者?!
飛行機の窓は邪魔者と聞くと「え?」と思う方もおられるかもしれません。
飛行機は非常に高い高度を飛びます。空の上に行けば行くほど空気が薄くなります。
当然人間はその高度では生きていけないので、常に機内に圧力をかけて快適に過ごせる仕組みがあります。これを”与圧”と言います。昔の飛行機や、一部小型機ではこの与圧のシステムがないものもありますが、一般的に私たちが乗るような飛行機はすべて与圧されている飛行機です。
この圧力は、機内全体にかかっています。例えていえば風船のようなイメージですね。
機体の表面は金属(一部飛行機は炭素繊維)で出来ています。
窓を作るためには、この機体表面に穴をあける必要がありますよね?
この表面の穴を大きくすればするほど、また数を増やせば増やすほど機体の強度が低下してしまうのです。その分、機体表面の強度を高める必要があり、機体が重くなってしまいます。
機体の重量は軽ければ軽いほど有利なので、飛行機を設計する人からすると窓はないほうが良いのです。
窓は何種類?
飛行機の窓は2種類あります。
客席用とコックピット用の二つです。
この二つは全く違う構造になっているので一つづつ説明します。
客席の窓
ではまず客席の窓からです。
一部の機材で異なるケースもありますが、通常の機体の客席窓は3層構造になっています。
外気に触れる一番外側はガラス、内側の2枚はプラスチックです。
客席の窓にはワイパーや曇り止め等の装備はされていません。
コックピットの窓
続いてコックピットの窓です。
コックピットの窓は、なんと!5層構造です。
ガラスとプラスチックを組み合わせて作られます。
そして、高速で飛行中には雨粒や氷などにさらされ、場合によっては鳥と衝突することもあります。
この衝撃で割れてしまっては危険なので、飛行機の設計基準により
巡航中の速度で1.8㎏の鳥と
衝突しても突き破らないようにと定められています。
(ちなみに、、、巡航中の速度は時速800km~1000km/h程度です。)
また、コックピットの窓は前方の視界確保のため、窓に氷がつかないように常にヒーターによって温められています。上空の気温はマイナス50℃ほどですが、この外気温の状況でもガラスに触ると暖かく感じます。
最新の客席の窓
上空では非常に日差しが眩しいですよね?
本や雑誌を読もうとしたときに手元を直接日差しで照らされると、
明るすぎて非常に読みづらいですよね?
そんな時に活躍するのが窓のシェードです。
今までの飛行機では窓の上から自分の手でシェードを下ろしていました。
しかし、一部の機材ではボタンを押すと、窓が黒くなり光を遮ってくれるものもあります。
この仕組みは、
簡単に説明すると
1、窓の真ん中の層の中に電気に反応する液体を満たします。
2、そこに電流を流します。
3、その流れる電気の量を調整することで暗さを具合を調整しています。
これは、ある種の化学反応のような効果を利用した技術なので、電気を流してから実際に色が変わるにはどうしても時間がかかってしまいます。
ボタンを押してすぐに変わらないと思っても、この反応待ちの時間差によるものなので、しばらく待ってください。
ぜひ新しい機材の窓際に座った時はこのことを思い出してみてください。